世事に疎い私でも、この人の名前は知っている。
中村哲さん。
元々はお医者さん。
パキスタン登頂の際に付き添って行き、以来アフガニスタンとのかかわりを持つことになったそうだ。
日本でのアフガニスタンに対するイメージは(旧)ソ連による侵攻や、それに対する内乱、更にはアメリカが裏で援助したことによるタリバンなど武装勢力の台頭、…と暗い話ばかりだ。
だけど、「そこでも人々が生活している」のは変わらない事実。
中村医師は、荒廃した土地で、みんなが仕事がない、お金がない、心が荒むことに心を痛め、「まずは命をつなぐ水を」という信念から、井戸掘りを始めた。
地元の人とともに生き、ペシャワール会は地元の人にはきちんと尊重されていた。
数年前にもペシャワール会の方が現地で襲撃され亡くなっている。
その時は、「我々は撤退しない、遺志を継いでこれからもここで頑張っていく」と中村さんは言っていた。
犯人はタリバンではないらしい。
誰が犯人でもいいけれど、殺して何が得られるのか。
そして、中村さんのような得難い人材を失ったことは、あまりにも損失としては大き過ぎる。
日本にとっても、世界にとっても。
中村さん、今までおつかれさまでした。
大変な状況の中、静かに、そして確実に歩みを進められた功績に、敬意を。
どうぞ、安らかに。