Amazonプライムビデオで気になっていた映画。
職場の学校でも無料上映会があったので、きっといい映画なんだろうなと思いつつ。
役者さんが手話を使いこなすってすごいなあと思っていたら、もともと聾の俳優さんなんだね。。。(あ、父、母、兄は聾の役者さん。主人公のルビーは違う。9ヶ月かけて手話をマスターしたとか)
しかも、もともとはフランス映画があって、そのリメイクということだけど、リメイクを感じさせないのが凄い。
いろんな側面から楽しめる、考えさせられる映画だ。
まず、4人家族で父、母、兄は聴覚障害。妹(主人公)のルビーだけが健聴。だから、小さい頃から一般社会では親の手話の世界と、一般人の通訳をさせられる。ミクロな世界で見ればこれも「ヤングケアラー」なのかな。最初の学校でのシーンで、夜中から親と一緒に漁に出て、授業中は居眠り、という描写があるので、そういう描かれ方で透けて見える。
親と一緒に漁に出ているのは、既に働き手としてカウントされているというのと、ヤングケアラー要素がダブっているのかもしれない。違法じゃないにしても、他の同年代の子がキャピキャピ友達と遊んだりデートしている日々を送る一方で、本人の意思に反して夜中から働いているんだったら、児童とまで言わないけれど、子どもを労働力としているあんまり良くないパターンだよなぁ。
そして、父と母、親子が結構「フツーの家庭」以上に仲が良いというか、愛情がある。時々下ネタまで出てくる。(例えばの一シーンを出すと、親父がケツが痒い、と言って医者に行ったらインキンタ虫だと言われ、2週間セックス禁止と言われる。それを親に手話で通訳するのは娘のルビー。思い切って「一生禁止」とウソの通訳をする…)
よくある障害者の人の描写だと、恋愛できない、あるいは興味がない、というように、恋愛やセクシャルな部分はカットされてしまうけれど、この映画の中でのみんなは、世の中の他の人と本当に変わらない。
そして、学校の中でも障害に対する偏見がチラッと見られ、それに心を痛める主人公ルビー。でも、まさかの課外活動の合唱で「本気出してみた!」ら、あららどうなっちゃうの…
よくあるアメリカ映画ほど「努力すれば成功できるぜお涙頂戴」でもなく、かといって「それくらいの努力と運で世の中回るほど甘くはねぇよ」とシニカルに攻めるイギリス映画でもない、「ほどほど」で、みんなが納得するエンディングがある。そこも良し。
ちなみに「コーダ」ってなんだろう、と思っていたら、Children of Deaf Adult/s、聞こえない、あるいは聞こえにくい親を持つ子ども、を指す単語なのか。
こういう作品を機会に、障害を持つ家族とメンバー、というものについて知る、考えてみるのってすごく大事だなぁ。