密かに「阿片窟」とあだ名を付けている場所がある。
神戸市内、山の麓にある鄙びた温泉。
温泉といっても宿ではなく、銭湯のように日帰り入浴だけだ。
昨今の装備充実、清潔感満載のスーパー銭湯とは真逆を行く、「ザ・湯治場」である。
なぜ阿片窟なのかー言葉だけで説明するのは難しい。
百聞は一見にしかず、なのだが、温泉の質がとにかく良い。
源泉掛け流しのお湯がたっぷり。
更に、お湯の温度が絶妙なのだ。
浴槽は全部で5つある。
源泉(沸かしていないもの)が26度くらい。ほとんどプール状態。
ぬる湯が37度前後。
その上の低温が41度くらい。
中温は43度くらい。
一番熱い高温風呂は45度らしい。
この中で、「ぬる湯」にひたすら浸かるのが至福なのだ。
また、「ぬる湯」では物足りなくなってきたら、「低温」に浸かってみたり、また、中温以上のお湯に入った後に源泉風呂で体を冷ましたり…と、エンドレスなサーキットが楽しめる。
温泉は自律神経失調症やうつ病の治療に効果があるというが、ここのぬる湯に浸かり、ぼーっとしていると本当に緊張していた神経がほぐれていく感覚が直に感じられる。
最近は2時間くらい居ついていることもザラになった。
お湯に浸かりに来るのはご近所の常連さんが非常に多い。
女湯に関して言えば、「通って30年40年」という方もザラで、この間「50年通ってる」という90手前の方にお会いした。
昭和なレトロ空間、最高のお湯、漂う湯けむりに巻かれるのがたまらないので、週末になるといそいそと神戸の山麓に向かってしまう。
まさに中毒性のある「阿片窟」的な温泉だ。
(本当に阿片が出てくるわけではないのでご安心を)
興味を持った方、訪問してみたいと思った方は↓を参照されたし。