神戸の元町商店街を歩いていった途中、場所的には花隈公園を南下して商店街と交差するところに、「インダスレイ」というインド料理店がある。
ここのお店がちょっと変わっているのは、「南インドのマンマの味」というキャッチフレーズがついているところだ。厨房に立っているのはその看板に偽り無しの南インドからやってきた女将さん。
普通、「インド人がやっているインド料理店」というと、バターチキンカレーとナン、それにラッシー、を想像する人が殆どだと思う。けれど、そのスタイルはどちらかというと北インド系の料理で、南インドは米食文化がある。
このお店の目玉は、土日だけ提供されるビリヤニだ。ビリヤニって何、という人のために簡単に言うならば、インドスタイルの炊き込みご飯である。もちろんお米は長粒種だし、水分少なめ、スパイスもたくさん入っているので、日本のそれとはテクスチャーが全く異なる。
実は数週間前にもこの店を訪問した。その時は日曜日だったこと、あと、ランチタイムの遅めの時間だったので(それでも1時過ぎだったと記憶しているが)、ビリヤニは売り切れた後だった。
売り切れと聞くと、人は無性にそれが食べたくなる。日を改めて、ビリヤニ詣にやって来たのが今日、というわけだ。開店は11時で、それに間に合わせれば確実にありつけるだろう。事実、今日は一番乗りで、ちゃんとビリヤニを頼むことができた。その後、11時台にポツポツとお客さんがやってくるが、皆さんお一人で、ビリヤニを頼んでいる。きっと此処の味に魅せられて、「1人でもなんとしても食べにきたい」という熱烈なファンの方々だろう。
ビリヤニはマトンとチキンの2種類で、チキンを頼むと脚1本がドーンと入ってくる。一方、マトンは小さく切ったお肉が入るが、スパイスの調合が見事で、いわゆる臭みは全くなく、どんどんスプーンが進む。
女将さんはアーユルヴェーダ料理の資格を持っているらしく、どのメニューを食べても脂っこくなく、スパイスも変に胃腸を刺激するのではなく、身体にやさしく染み入る感じがする。野菜が多めで、かなりのボリュームなのだが食べ切っても罪悪感は無い。
実は神戸は明治の開港以来、いろんな国の人が住んでいるので、結構エキゾチックな料理も食べられる。「神戸といったら洋食でしょー」と映るかもしれないが、洋食ももちろん美味しいが、こういうエスニック料理も本場の味がするので、グルメのチョイスに是非入れてほしい。
チキンのビリヤニ。チキンはご飯の下に隠れている