サバ×サバな日々

メンタル不全により仕事からの敗走。休職というサバティカル、そしてサバイバルに向けて模索する日々のよしなしごと。

サバイバル日記Ⅱ 94日目 ダークな小説を読んで働く現場を知る

 ここ数日、社会派の小説を立て続けに読んだ。そもそも、年末年始に夢中になっていた「ミレニアム」も、(舞台の国が違うとはいえ)社会に蔓延る問題を深く抉った作品だった。壮大な6部作だったけれど、既に説明した通り前半3部作を書き上げた直後に作者が急逝。後半4-6部は、別の作者が前半の世界観を引き継いで書いたものだ。正直、前半は、作者の生み出したキャラクター故、人物が本当に「活き活きと」描かれていた。後半はどうしても「引き継いだキャラ」=自分が生みの親でないせいか、細部まで知り尽くしていないが故、どうしても他人行儀というか、血が通った感が薄いな、と感じてしまったのは気のせいだろうか。

 その後も、なんとなく武骨なシリーズが読みたいな、と思っていた中で、カメキチさんが紹介していたテレビドラマ「ガラパゴス」の原作小説を読んでみることにした。日本の製造業、下請けを舞台にした作品だ。

 

 

 

 ニュースや報道で時々耳にした「偽装請負」や「派遣労働」をしていた労働者が作中では事件の中心人物となる。恥ずかしながら私自身も、ニュースでは聞いていたものの、現場ではそんな過酷な状況に置かれているということは全く想像が及んでいなかった。話の筋は殺人事件を追う刑事の物語なので、事実100%ではなく、創作の部分もあるだろう。しかし、数ヶ月単位で職場を転々とせざるを得ない、あるいは次の職を巡って同僚同士でも蹴落としあいがあったり、正社員と派遣社員の軋轢やハラスメント、更には人材派遣会社のピンハネなど、かなりの割合でリアルに起こっている現実が集められているのではないだろうか。

 

 続く作品「アンダークラス」も買って読んでしまった。こちらはもっと厳しい。最近の事件でその名を聞くようになった「外国人技能実習生」にまつわるストーリーだ。技能実習生制度は、派遣労働以上に一般の日本人にはさほど縁が無く、「は?なにそれ、知らんわ」という世界だろう。急激な(というのも嘘くさいが)少子高齢化社会となった日本の労働力不足解消のために、諸外国から「技能実習生」という名目で労働力を集める制度、だが、まず日本に来るまでに現地の仲介業者などに多大な借金。そして来日した後も、就労現場は劣悪で、場合によってはパスポートやスマホを取り上げられたり、休みの日もなく、自由な行動が一切できないようにさせているケースもあるらしい。

 

 

 この本を読んで、改めてこの制度を早く止めさせなければ、と痛感した。少なくとも、劣悪な実態が世界各国に明らかになれば、日本は人権も何もないとんでもない国だ、というのを露呈することになる。いや、そもそも人権もないとんでもない国は今に始まったことではないが、外国人を招いて不遇な環境を改善しないのであれば、自ら恥を晒している以外の何でもない。こんな国の人間であることが恥ずかしい、と一人でも多くの人が感じて、技能実習生の状況改善につなげなければ、日本の将来は本当に危ない。