サバ×サバな日々

メンタル不全により仕事からの敗走。休職というサバティカル、そしてサバイバルに向けて模索する日々のよしなしごと。

サバイバル日記Ⅱ 93日目 またとんでもないこと言ってるな

少子化に対して、長期的かつ本質的な解決をする気が無いのかこの国は。

 

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《以下、記事内容のコピー》

出産条件に奨学金の返済減免 教育費軽減で提言へ―自民調査会
2023年03月02日20時02分

 自民党の「教育・人材力強化調査会」は2日、子育て世代の教育費負担の軽減に向けて来週中に取りまとめる提言の内容を固めた。学生時代に奨学金の貸与を受けた人が子どもをもうけた場合、返済額を減免することなどが柱。20代~30代前半の子育て時期と奨学金の返済時期が重なるため、返済額を減らして子どもの教育にお金を掛けられるようにする狙いがある。

 出産するかしないかにかかわらず、奨学金の返済に苦しむ若者がいる中、返済と出産を結び付ける案は議論も呼びそうだ。
 党内で少子化対策を議論している「こども・若者」輝く未来実現会議に提言し、政府が3月末をめどにまとめる「異次元の少子化対策」の「たたき台」への反映を目指す。減免に使う財源は教育国債を発行して賄う案も明記する予定だ。

《転載ここまで》

 

そりゃ、議論を呼ぶでしょ。呼ばない方がおかしいでしょ。

勿論、積極的に子どもが欲しいと考える人にとっては「ありがたい」お話だ。けれど、率直なところ、「そういう制度」があるからという理由で子どもを産むだろうか。そもそも、子どもは「産んで終わり」ではない。それはへっぽこな男の考える(考えそうな)ことだ。それに、(制度にのっかろうとそうでなかろうと)「子どもが欲しいけれどできない」という状況の人にとっては更に辛い制度に見える。いろんな事情で「子どもは欲しくない」と考える人など、針の筵状態だろう。

他にも、新婚家庭に公営住宅貸したらええやんとか、的外れなことを言っている政治家(セイチョー会長)もいるようだが、本当に、国民が求めているものは何なのか?ピントずれまくりじゃないか?

・もちろんお金は必要だ。

 だけど、今の若者の「お金が無い」というのは、特に非正規雇用の人を中心に、「自分一人が食うにも困ってる」状態。そんな状態で家族を増やすなんて、とてもじゃないけれどできない。

 時代が変わって21世紀の世の中になっても、男女の賃金格差が埋まらないこともあって(それだけではないと思うが)、女性が結婚相手に「経済力」を求めるのは昭和の時代から変わっていない。逆に言えば、非正規雇用の男性が減らない限り(あるいは非正規であってもそれなりの収入が保証されない限り)は、そういう立ち位置にいる人は結婚が難しい、ということになる。先日も書いた通り、日本の場合は結婚≒出産だから、そもそも結婚ができないなら出産というコースはほぼ無い。

 

・それよりもマンパワーが必要なのでは

世の中が賃金給与を上げない、出し渋るなら、昔のような「男は外で働き女は家庭を」という生活様式は成り立たない。共働きが基本になる。女性はむしろ結婚しても働き続けるのは今やスタンダードだけれど、出産を機に退職、時短、派遣社員や契約・パートへの勤務形態変更する人も多い。それはなぜかというと、「育児」をやってくれる人が他にいないからだ。

「ワンオペ育児」っておかしいよな、だって、母だけじゃなくて父もいるはずなのに、父の存在はほとんど無いのか…いや、父当事者は関わりたいのかもしれない。そうさせない働き方が問題なのだ。男女問わずみんな17時過ぎたら職場から退散!休日出勤なんてありえない!という社会がフツーになればいいのだ。

 

奨学金って「貸す」ものですか

そもそも、奨学金を「貸す」前提に話をしているけれど、将来的には大学まですべての学費を無料化するとか、極めて低額にして、「本当に学びたい人はお金のことを気にせずに学べる」ような世の中になってほしい。学費だけじゃなく、生活費もかかるんだという意見もあるだろう。そのために、貸与じゃなくて、返済不要の支給型奨学金をもっと充実させる必要があるだろう。

 

あと、教育業界にいてそもそもマズイな…と思うのは、自宅の経済事情を子どもに知らせていない家庭がそれなりにあって、その弊害。経済教育が無い、自分の家庭の懐事情を知らないまま大学受験して、合格して入学したはいいが、学費が年にいくらかかるとか、卒業するまでにいくら必要かとか、全く関知していない子どもが殆どじゃないだろうか。また、親もそういう説明をしないで入学させている。

入学後すぐに奨学金の採用選考があり、親が代筆して出願するケースも多い。最近は推薦入学なんかもふえているから、高校時代に既に予約採用で奨学金を申し込んでいるケースもあるが、いずれにしても、学生本人が「自分で返済する」という意識を持ち合わせていないことが多い。そりゃ、「いくら借りた」のか自分で認識していなかったらば、「何年かかって」「いくらずつ返す」のか、計画の立てようもない。勿論、卒業間近のタイミングで学生課の奨学金担当者が説明会で話はするけれど、その時点で言われても、当の学生にしてみれば、「(名義が自分になっているとはいえ)唐突に、そんなこと言うなよ」の世界だろう。

逆に言えば。「●●●万円借りたら、●●年かけて●●円ずつの返済」というシミュレーションが借りる時点、借りている時点でできなければ、将来設計はできない。そして、正社員として働いていて「それなりの給料」をもらえるとしても、20代のうちは特に月3万円以上の返済になると、生活はかなり厳しくなるだろう。

 

高額の学費、それを賄うための多額の貸与奨学金(実質借金)、「普通」の生活が送れない不安定な非正規雇用、と、世の中テコ入れしなければいけない問題は絡み合っている。