今回、豊中方面に出張してきたのは、「たこ湯」が気になる、だけではなく、「豊中温泉」が8月末日で閉店になるという噂を聞いたからだ。
豊中温泉は今までノーマークだった。恐らく、昭和の時代には町内によくあるタイプの銭湯だったのだろう。そういうお風呂屋さんこそが、存亡の危機に立たされる。閉店の前に行っておかないと。そういう思いに掻き立てられ、たこ湯と抱き合わせでの出張と相成った。
豊中温泉は「温泉」と称するが、大阪にありがちな単なる屋号である。天然温泉の施設ではない。
場所は阪急豊中駅からすぐ、歩いて5分もかからない。大通りからひょこっと入った路地すぐにある。
場所としては一等地だ。
こんなところの銭湯が逆に今日まで残っていることがリスペクトの対象だ。
入口正面はこんな感じ。
電気に照らされた設備一覧。昭和の時代には充実のラインナップだったのだろう。
特筆すべきは下駄箱の多さ。これはほんの一部で、ここが一番左端。これがあと✖️3並んでいると思ってもらえればいい。それだけ最盛期はお客さんが多かったのだろう。こんなに盛大な靴箱を見たのは、西成の福寿湯以来だ。
暖簾をくぐると、左右に入口が分かれている。
昔ながらの番台スタイル。
閉店を知らせる貼り紙。昭和35年から60年の営業かぁ…
浴室の中は、決して広くはないけれど、ジェットや電気風呂、泡風呂と看板にあったものを一通り取り揃えている。
(構造とスペースの関係で仕方ないのかもしれないけれど、ジェット風呂のところは足は思いっきり伸ばせない設計になっている…)
狭いながら露天風呂もある。今日はミントの香りの健康風呂だった。
3人くらいは同時に入れるし、夏の熱いお風呂が苦手な人はこの露天風呂はちょっと気持ちいい。サウナの後の外気浴スペースにもできる。
全般的に掃除やメンテナンスも行き届いていて、気持ちのいい浴室だ。
お風呂以外の設備としては、スチームサウナを備えていた。
どうやら無料で使えるようだ。せっかくなので、入ってみた。5分以上入っていれば十分蒸される感じ。隣には水風呂もある。大阪の銭湯よろしく、ライオンさんの口から冷たい水がだばーっと落ちてくる。たこ湯ほどは冷たくないものの、19度くらいだろうか、サウナの後にはいい感じの冷え具合だ。
いつもの人の入りなのか、あるいはこの日はお客さんが多めだったのかどうかは分からない。晩の9時過ぎだが、割と若い人から長期の常連と思われるシニアマダムまで、幅広い年代の人が出たり入ったり。
それでも月末には惜しまれつつその役割を終える。
これまで地域の中でご苦労さまでした。
脱衣所についていた開店当時から現役の扇風機も、ご苦労さん。