世界がコロナ禍に見舞われる前、更に言うならば、ポンコツになって引きこもる前は、頻繁に海外旅行に出かけていた。
それも、あっちこっち行くのではなく、ほぼほぼ好きな場所をリピートする。
大抵、身の回りに一人くらいは「ハワイが大好きな人」がいらっしゃるのではなかろうか。年に1回、いや、それ以上の頻度でワイキキのコンドミニアムに滞在している方。
私の場合は、行き先は「香港」か「ベルリン」だ。3日あれば香港に、1週間あればベルリンに行くことが多かった。
なんで香港が好きなの?なんでベルリンが好きなの?と聞かれるが、自分の回答で回りが納得するかどうか…
1.田舎よりは都会が好き。
2.複雑な歴史を持つ街はカルチャーが交錯していて面白い。
3.昼も晩も楽しみがあるところ。
4.クルマではなく、公共交通機関(電車、トラム、地下鉄、そしてバス)で街巡りができる。
香港もベルリンも、この条件を満たす。
そして、香港は「日常」の最中にスイっと行けるところ(だった)。3時間ちょっとで香港に着く。昼も夜も凄い喧噪に身を置いて、A級、B級グルメを次々と胃袋に突っ込み、「失われた活力をチャージしに行くところ」だ。
対してベルリンは、行くのにちょっと時間が要る。勝手知ってるので、ガイドブックなんかは殆ど要らないが、1週間分の最低限の着替えなんかを用意するには、香港行きよりも時間が要る。現地に着いて、勿論、博物館や美術館、コンサートに行くのは楽しい。だけど、それよりも、まるでジモティのように、ふらふらと街を歩いてスーパーに行き、カフェでまったりとして人間観察をする、まるで「そこの場所に居ついてるかのように生活する」のが楽しかったりする。
そんな私の「Youは何しにベルリンへ?」を代弁してくれる本を見つけた。
この作者さんがこの本の中で綴っているのは、「ベルリンで起こっている日常」だ。カフェに行ったり、買い物をしたり、地下鉄や電車に乗ったり。なんだ、私もやってるぞ。その道中で起こる出来事と、心の動きについて描いている。
いや、ベルリンでなくても、世界の他の場所-究極的に言えば、日本のどこかでも、今住んでいる地元でも、あり得る光景かもしれない。
けれど、作者の香山さんも私も、日本では普段感じないからこそ、この漫画に、体験談が落とし込まれ、そしてそれに共感するのだろう。
嗚呼、これを読んでいたら、またベルリンに行きたくなってきた。
いつになったらコロナが収束するだろうか。そして旅行が解禁されるだろうか。