夕方、三宮近辺にふらりと出かけた後、その近くでの食事処が決まらなかったので、六甲に移動して灘温泉に行くことにした。
六甲道駅から程近いところに、割とよく行くうどん屋があって、そこを目掛けて行ったのに、今日は休業のようだった。困った、ここから先は思い付く食事処が無いから、この近辺で代案を打たねば…と考えたところ、至近の町中華が営業している気配。その店、いつぞや「ルパンと御一行様」に遭遇した店でもある。
最近その店にも久しく行っていないので、中華に決定。
大衆中華なので、麺やご飯もの、セットメニューがあるのが嬉しい。2人でシェアするべく、炒飯、ワンタン、そして牛バラ焼きそばをオーダー。程なくして注文品が到着。
ここのお店、炒飯やワンタンは「昭和な大衆中華の王道」を行く味付け。特に炒飯などは、凝った材料は使っていないが、塩胡椒や醤油で、一般大衆の味覚をバッチリ捉えて離さない。
しかし、牛バラ焼きそばは、昭和な大衆中華の味からは少し違う。一口頬張ると、八角の香りが湯気とともに鼻をくすぐる。日本の町中華で八角をガンガン使うシーンにはあまり出会わない。むしろ、台湾や香港、中国本土で出会う味と香りゆえ、かつてはよく訪問していた香港の街を思い出す。
最後に香港を訪れたのは2018年の秋。もう2年半近く前のことになる。普通選挙を求める運動やデモ、返還記念日のデモなんかを目の前で見たこともあるので、香港の現状を思うと胸が痛む。
それでも、また街中の八角の匂いを身体に浴びつつ、本場の牛バラ焼きそばを食べたい、と、神戸の片隅で改めて思う。