話は2日前に遡る。
私はようやく、職場や世間の喧騒から少し距離を置けるようになった。ちょうど正午を少し過ぎたくらいのタイミングでキャンプ場に到着し、一泊二日、自分のペースでのんびりと過ごすつもりだった。
しかし。午後の遅い時間にLINEが一通。
「土日休めるから東京行かない?」
相棒からである。
コロナ禍になってから東京に行くこともはばかられ、飛行機にも久しく乗っていない。
本当はデジタルデトックスを目論んでいたのに、レトルトカレーを焚き火の上で温めつつ、スマホ片手にANAのサイトで飛行機の予約。ついでに「じゃらん」のサイトでホテルの予約。
嗚呼、便利なことこの上無い、が、こういうのだから現代人は疲れちゃうんだよなー、と思う。
まあ、コロナ禍の約1年半で、予定していた出張も、いくつか吹っ飛んだ。それ故、過去に使い切る予定だったマイルやじゃらんのポイントなんかがそのまま残っている。
幸い、東京行きでも、あまり懐を痛めずに済むのはありがたい。
さて、適当に荷物を見繕い(といっても、殆ど持っていくものは無い)、ボストンバッグ一つで伊丹に向かう。
意外にも飛行機は満席だった。
小さめの機体に切り替えているのだろうか。何故か機内に乗り込むとすぐ眠り込んでしまうので、ドリンクの1杯も貰わぬまま、羽田に到着。
何故東京にやってきたのか…?それは、東京の美味いものと、落語、そしてサウナが目当て。
まずは、鰻で腹ごしらえ。
この時点でもう幸福度90%だ。
食べ終わったら即帰宅でも構わない、というくらい。
でも、それだけでは勿体無いので、寄席に向かう。
新宿末廣亭。東京で寄席を見る時は大抵此処だ。サイドの座敷に上がり込んで鑑賞するのが好き。
ただ今はお弁当やお菓子は場内で食べられないので、飲み物だけで我慢。
昼席を最後まで堪能して、外に出ると17時少し前。
此処で軽く夕食にして銭湯に行けば、ちょうど混雑を避けられるな…という読みで、まずは東中野で街中華のお店に。
アド街なんかでもとりあげられる超有名店らしい。看板メニューはタンメンのようなので、それもオーダーしてあっという間に完食。
そしてそこから歩くこと15分、今一番ホットかもしれない、街中銭湯、松本湯に到着。
今年8月にリニューアルオープンしたばかりだそうで、全国津々浦々のサウナや温浴施設の文字通り「ええとこどり」満載だった。
あまりの衝撃に、もう他の銭湯を回るのは止めにした。何処行っても比べてしまう、霞んでしまうのが目に見えているからゆえ…
サウナに入るとお腹が空いた。
小腹を満たしに、探して見つけた香港茶楼に入る。
店内全てがホンモノの香港だった。