サバ×サバな日々

メンタル不全により仕事からの敗走。休職というサバティカル、そしてサバイバルに向けて模索する日々のよしなしごと。

454 裁判からみる「不貞行為」とか「慰謝料」とか

 できれば、裁判など縁無く一生を終えたいところだが、場合によってはお世話にならなければならないかもしれない。フツーの一般市民にとっては刑事より民事、それも離婚だとか子供の親権、あるいは相続にまつわること、お金や不動産の貸し借りなどにまつわる内容が一番あるとしたら身近なところだろうか。

 最近はTV番組などでも現役の弁護士先生が出てきていろいろ講釈したりしてくれる。あと、ネット社会になって、ちょっとした悩み事、相談事ならば、「落としどころの相場」なども調べられるようになった。昭和の昔のように、「とにかく弁護士先生に相談してみないとわからない」というよりは、恐らくサクッとネットで調べて、相場観とかも持ったうえで、でも自力じゃ無理よね、とか、もっと取るためにはプロの手を借りないと、ということで法律事務所のドアを叩くのだろう。

 そんな中、きっと市井でよくあるのは「配偶者の不貞行為」に絡む慰謝料請求とか。まあ、結婚している限りにおいては、誰の身にも起こりうる。逆に、自分が結婚していなくても、ちょっと寄っていった相手が(実は)既婚者で…という可能性ももちろんある。

 実は、裁判所における裁判でも、「こういう状態ならばこう」というテンプレがあって、それで判決を決めている。というのは過去に似たようなケースがあって、「あの時は無罪だったのに!」とか「慰謝料全額払ってもらってるのに!」となるのは都合が悪い、バランスを欠くからだ。しかし、特に不貞やそれに起因する離婚、慰謝料請求というのはかなり個々のケースが状況的に異なるし、情状酌量というか、その背景もじっくり踏んでけんとうする必要がある…らしい。つまり、裁判官も悩んでいるのだ。過去のデータソースから、類似事例を見つけて、マッチングしたい、という気持ちも大いにお持ちなのだろう。そういう気持ちが表れている資料を発見した。某法律関係の記事が掲載されているサイトで紹介されていたので、興味深くて読んでみることにした。

 チョーお堅い司法の場の人間が、一生懸命(不倫相手は)「妻とは離婚していると信じて疑わなかったので、…過失は無い」とか、「異性と交際するにあたって、同人が既婚者か否かに常に注意すべき法律上の義務は無いと解する」とか、「(いやいや不貞行為をはたらいたのは夫婦関係が破綻していたからと抗弁するけれど)多数の抗弁があったにしても、それが最終的に採用されたケースは極少である」とか、真剣に記事に起こしているのはなかなか面白い。もちろん、そういう泥沼に白黒つけるための裁判で、裁判官も職務上苦労されておられるのだ。「慰謝料の遅延損害金がいつから発生して、いくらくらいと認めるのが妥当か」とか。

 人間争いになったら、「貰えるだけ貰っておかないと損だ!」といきり立つのだろうけれど、やっぱり相場観あっての落としどころだから、その相場観を可視化するためにも、一生懸命過去の同類事件を収集して分析しているのだろう。

 しかし人間模様が色濃いこの「不貞慰謝料請求事件」の数々、漢字熟語にすれば同じだけれど、個々の事案の概要を読むと、本当にいろんな状況で、憎むべきは誰か、といろんな妄想が膨らんでしまう。(興味がある人は「判例タイムズ」1278号 P.45-64を参照されたし)