サバ×サバな日々

メンタル不全により仕事からの敗走。休職というサバティカル、そしてサバイバルに向けて模索する日々のよしなしごと。

サバイバル日記Ⅱ 131日目その2 診断と告知

 さて、今日の用事の本命。親父が入院している病院に向かうことになった。主治医から取り付けている約束の時間は17時らしい。クルマで20分くらいだそうだが、渋滞やいろんなことを見込んで少し早めの16時10分頃に家を出発した。

 実は市内であっても、普段の生活とは動線的に関係が無かったせいで、実家住まいの頃は来たことが無かった。西に向かうには、この道路を通るしかなくて、電車は走っていないから、言わばクルマ社会だ。朝晩の通勤通学時間帯は、きっと送迎も含めて渋滞がそれなりに有るのだろう。ボーっとそんなことを考えながら後部座席に座っていた。

 気合を入れると何事も起こらない、という通例のとおり、想像以上にスムーズに病院に到着してしまった。仕方ないので、時間まで1階のロビーで座って時間を潰す。某チェーン店のコーヒーショップも病院内にあるけれど、出発前に自宅で散々コーヒーだのお茶だのを飲んできたところだ。これ以上水分を摂取したら、センセイの説明の最中にトイレトイレ、になってしまいそうなので、ス●バに行くのはやめた。

 長らくでっかい病院に来ていないことに気づかされる。祖父が亡くなる前は、お見舞いに行ったりした。その後、祖母は入院して1カ月強で亡くなったし、入院先はそんなに大きい病院ではなかった。父親が今いる某大学病院は、テレビドラマなんかに出てくる風景さながらで、1階の受付、会計のカウンターもとにかく広いし大きい。まるで空港のチェックインカウンターか、というくらい、ずらーっと並んでいるのが壮観だ。ただ、夕方なので、もうそこでコトを済ます人はほぼおらず、閑散としている。

 不自然にバカでかい「訪問者」バッジを母親が身に着け、更に見舞い者カードなるものも記入。入院している階に上がったが、フロアはオートロックになっている。(これはお見舞いOKの時間はロック解除になっているのだろうか?)まあ、外部の人間が易々と入らないようにするためには、セキュリティ対策としては良いことだ。

 さて、約束の17時になり、ナースステーションの隣にある小さなミーティングスペース的な場所に通された。しかし、肝心のセンセイは他の患者さんの対応に追われているらしく、なかなか現れない。ひょっとして、忘れられてる…?!と気になり始めた30分経過ちょいして、ようやく主治医のN先生が現れた。他に、看護師さんも登場。若干手狭になったスペースで、車椅子で連れてこられた親父本人、母、私、そして妹と揃って、センセイの解説を聞く。

 ホワイトボードに脳と脊髄、手足の超簡単な略図を描きつつ、これまでの身体症状、現在の状況と、病院でやった検査の内容とを照らし合わせて説明していってくれた。できる限り分かりやすく、不安を排除するようにしようという努力が伝わってくる説明だった。

 最初の説明で、「脳機能」からの疾患は否定され、続いて筋肉系の疾患でもない、と否定される。となると、聞かされている方は「じゃあなんやねん」という気持ちになるが、そこは最後まで説明が続き、「あれでもない、これでもないなら、●●●●●の可能性があります」と、診断名を告げた。

 

 事前に、「かもね」という情報があったこともあり、家族の誰も何も言わない。自宅で、半分冗談で「ふーん」で終わらせよっか、と言っていた時と同じくらいの薄いリアクションであった。主治医のセンセーはこの場面をどう思って見ていたのだろうか。まあ、患者だって家族だっていろいろだから、そんなことにこだわってはいないだろう。

  その後、症状や家庭での過ごし方についてのちょっとした質疑応答をして、気が付いたら20時前になっていた。世間的に見たら「大変な病気」の告知なんだから、それくらい時間は経つものだろうけど。病院としては、今すぐにできることはあんまりないのだろう。「あとは本人と家族で、自宅でがんばって」ということなのだろうけれど、私を含めて、当事者以外は、「これからどうなるのか」を心底理解している、肚落ちしているのとは遠いところにいるのかもしれない。