サバ×サバな日々

メンタル不全により仕事からの敗走。休職というサバティカル、そしてサバイバルに向けて模索する日々のよしなしごと。

サバイバル日記Ⅱ 139日目 置き去りにしていいのか悪いのか

今日も妹からLINEが来た。今までは月に2,3回あるかないかだったが、例の帰省以降は、「今日の実家情報」よろしく、親父と、それを取り巻く実情がレポートされている。妹も心情的には複雑なのは想像に難くない。

妹は大学時代も含めて今に至るまで、ずっと実家住まいだ。結婚していないし、職場がいわゆる地域限定職的な部分もあって、一人住まいをする契機が無かったのだろう。それでも私ならば、ある程度の年齢、あるいはお金の目途が付いたら「あの家」からは出ていると思うが、どうやら妹の場合は(親父譲りなのか)「お金が勿体ない」から実家にいた、と言う。親父からは「さっさと家から出ていけ」と言われていたらしいが(まったくもって実の子どもに悪いことをしたわけでもないのに家から出て行けと言い放つとは、我が親ながら呆れる)、「出て行ったら『負け』だと思うから、意地になって居た部分もある」と妹は言う。分かるような分からないような…

勿論、そんなことが私が家を出て以来3人(父、母、妹)の間で繰り広げられてきた歴史がある。当然ながらそんな仕打ちを受けていたら、積極的に世話をしよう、面倒を見よう、という愛情あふれる娘ではありえない。だけど、全くの赤の他人である母とはちょっと違って、やはり「親」であるというところに最後の情はあるのか、「全くの放っぽらかし」にはできない、したくないようだ。

退院後、親父が自宅に帰ってきた後も「前と変わらず」の生活を送っているらしい。…まあ、急に家族が手取り足取りのお世話を期待されてもそれは無理だし、本人(父親)が意地を張っている部分もあるので、死なない限りは好きにさせておこう、というのが残り3人のなんとなくの合意だ。

そんな中、今日妹が怒ってLINEで伝えてきた内容は、「母親が、自分が出かける用事があるからといって、父親に鍵渡して出かけてしまう。デイサービスの人が迎えに来たら、自分(親父)が玄関閉めろってしてるみたい。そんなん大丈夫だろうか?」と。

うーん…確かに、最初聞いた時はなんとも言い難かった。まるで放置しているように聞こえる。一応、先週医者には「日用品の買い物とか、1-2時間ならばいいけれど、1日まるまるの不在は…」と、ひとりで家に置いておくことは否定的に言われた。だからといって、病気が進行していくとはいえ、まだそこまで悪くは無い。

正直、難病の宣告をされたからといって、日中親父とずっと二人きりなんて、母親には耐えがたい苦痛、だからこそ、「私は用事があるから出かけてきますわ、あとはヘルパーさんよろしくね」となったのだろう、と、状況を思い起こしてみて、思い至った。

考えてみれば、世の中にはほかにも介護が必要な人はたくさんいて、今や高齢社会だから、その中には独居の人(高齢者)もかなりいるんじゃないだろうか。もともと独り暮らしの人もいるだろうし、連れ合いに先立たれて1人、というパターンもあるだろう。一人住まいならば、デイサービスに連れていくときに、迎えに来たスタッフが施錠する、というのも状況的にはあり得るだろう。もし、施錠を忘れていたり、ちゃんとできなかった場合、一人住まいと同居人がいる場合だと、他の人にも影響が及ぶというくらいだろうか。

近い将来はどうなるか分からないけれど、今後、介護が必要な人間は確実に増える中、それを家族親族でやってね、というのは現実問題無理な話だというのがこの数日だけでも実感できた。だって、今介護する側に立たされているのは若い世代、現役勤労世代だ。老々介護であったとしても、相手には相手の生活がある。介護が「仕事」でない限り、介護「する」側の生活が大なり小なり犠牲になってしまう。その幅が大きくなって耐えきれなくなった時に、最悪のケースが起きるのかもしれないし、そうなってしまう関係性は充分理解できる。

もちろん、誰だってそうなる可能性はある。自分だって、病気や怪我、あるは老いによって介護を必要とする時が来るかもしれない。その時に、絶対に「介護されて当然」とは思わないようにしよう。