キャンプから戻って一息つく間もほとんど無く、心斎橋に出かけた。
発表会前のピアノ合わせがあるので、その為である。
バタバタの予定だが、元はと言えば、キャンプの予定が前々から決まっていたところに、ピアノ合わせの日程が急遽降って湧いてきた。2回しか無い機会なので、すっぽかすわけにもいかない。すっぽかしても先生は怒らないが、自分が不利になるだけだ。
楽器を担いで心斎橋まで行ったが、いつもより遥かに短い時間であっけなく終了。18時前には解放された。
心斎橋も梅田も、緊急事態宣言などなんのそのな人出で、特にデパートなんて入口で入場規制がかかっているけれど、あの列に並んでいるだけで健康に悪そうだ。
ワクチン注射も既に終えているけれど、それでも感染しないわけではないので、リスクを避けるためもあるし、今日はキャンプ帰りで疲労もしているので、とっとと帰宅しよう、と、梅田から帰りの電車に乗った。
発車を待っていたところ、すぐ近くに座ったのがホスト風の男性。ただ、髪の毛は茶髪ではなくて黒い。上着は来ていないが、ネクタイにベスト。
その御方、携帯の着信があったのか、車内で話しはじめた。
「…ああ、…」
しかし、直後から、なんだか話がとんでもない方向に進んでいく。
(ご本人と我々の身の安全のために、一部ボカシて記載)
「●△はなー、観光客おらんなって、売上無くなって、土地の八割が中国共産党の支配下になったんや」
?!?!…よくわからないが、ご本人の業界の話だろうか。●△にも、ホストクラブみたいな店、繁華街歓楽街はあるが、そこがだんだん中国系の経営とか従業員が増えてるってことだろうか?!
最初は嫌中とかの飲食業、ホストクラブ関係で、そういうことを喋っているのかと思いきや、「土地の八割中国共産党に乗っ取られている」とリピートしているので、単なる嫌中とか、業界だけの話ではないようだ。
そして、●△の話を続けるのかと思ったら、
「あんなー、□◆な、水道が民営化して水道代が20倍になってるらしいわ。友達が水道代20万とかになって、みんな逃げてきてる」
と、水道の話になった。電話の相手は一体誰なのだろう。
私含め、同じ車両の他のお客さんも、電話中の方の素性と電話の内容が気になっているらしい。かの人、声がでかいので、聞きたくなくても会話の内容は筒抜けだ。
「そんなんやし、俺も政治家に話しにいったりしてるんやけどな」
うんうん、それで?
「今までに4回くらい殺されかけてるわ」
マジか?!
「2回車に轢かれかけて、1回ナイフ突き付けられて、1回は後ろから突き落とされたわ」
はぁ…よくぞご無事で。。。
なんだか、脈絡があるような無いような話題で、どんどん宇宙的になってきた。
この方のそばにいて大丈夫だろうか。
と思っていたら、次の話題はコロナのようだ。
「ワクチンなんて打ったらあかんねん」
なにやら、相手の反応が気に入らなかったのか、電話中の御大は、電車を降りて、ホームで更にでかい声で会話を続行。
「コロナワクチン打ったら3年以内にみんな死ぬんや!国営放送でワクチン打つな打ったらあかん言うてるのにワクチン打つバカが山程おるねん!」
「友達が海外から帰ってきてびっくりしてるわ、イギリスでもワクチン拒否って暴動起こってるくらいやのになんでやらなあかんのかって…」
その後も兄ちゃんは電話の相手(!?)にえんえんとコロナは幻だ、コロナワクチンは恐ろしい、必ず死ぬ、と激しく自説を展開していたが、ちょうど発車時刻になり、電車は彼を置いて梅田を出発した。
扉が閉まった時に、物言われぬ安堵感が車内に漂っていたのは気の所為、ではないと思いたい。
その後、電話の内容はどのように進んでいったのか、知りたいような知りたくないような