今日の昼間は一日研修会に参加した。
もう25年前になってしまうが、阪神大震災をテーマにした講演もあった。
当時、私は阪神地区居住ではなかったので、この話題になると「真の当事者」にはなれない。しかし、今この地に20年近く住み続けると、街のあちこちに震災の影響を見て感じることがある。そもそも、駅前の姿が「がらっと変わってしまった」(注:地元に長い人談)のが、震災後の再開発故だ。
会場が東灘区だったので、そのまま東灘区にある銭湯に行くことにした。
直線距離でいえば東灘区は自宅から一番近いのだが、「東灘区にある銭湯」は実は我が家からは交通機関の関係でアクセスしづらい。現状3軒残っているうちの1軒はJR沿い、残りの2軒は阪神電車が最寄になる。
さて、震災といえば、今日行く「ときわ湯」のことを挙げないわけにはいかない。
ずっと噂には聞いていたのだが、↑の通り気軽にアクセスできず、「また今度」が続いていた。さすがに、震災メモリアルの時には行かねばならない。
阪神の「御影」駅、南側から少しだけ西に歩くと、住宅街に突入する。
その住宅街の中にあるのがこの「ときわ湯」さんだ。
簡素な佇まい。
阪神大震災直後に、本来の浴場は被災して使えなくなってしまたが、駐車場だったところを利用して「仮設」で銭湯を再開、そのまま現在に至っているとのこと。
全体的に「小づくり」で、がんばって設けられたフロントで利用料金を支払い、中に入る。脱衣所も、他の銭湯よりは狭い。けれど、それが「震災直後からの営業」所以だと知れば、「そうかぁ」と納得がいくし、むしろ感慨深い。
ちなみに、こんなコンパクトな造りではあるものの、時間がよかったのか、洗い場はほぼ満員。カランがほぼ塞がっていて盛況だった。地元の方からの需要がガッツリあるのだろう。
中の浴場は、プレハブ造りで、大きめの浴槽が一つ。浴槽の中で、右側は浅め、左側はロの字に段が付いた深風呂になっている。
カランは浴槽の手前、左右についているが、数は少なめ。全部で7つほどだろうか。配管もむき出し、「急いで整えました」的な雰囲気が漂う。
ちょうど25年前、まさにこの地で震災が起こり、多くの人はガスや電気が止まり、生活の根幹が絶たれてしまった。
そんな中、なんとかすぐに銭湯を再開させた店主の使命感、そしてそのおかげで温かいお湯にありつけた地元の皆さんの気持ちの有り様を考えていると、お風呂の中で知らず知らずのうちに涙が出てきた。
震災ってなんだろう。
生活ってなんだろう。
衣、食、住足りるってどういうことだろう。
ここのお風呂に浸かることで、25年前の震災と、これからの生きるすべについて考えるきっかけにしてほしい。
そういう意味で、ここ「ときわ湯」は特別な存在だ。
ときわ湯
神戸市東灘区御影本町8丁目9−19
営業時間 16:00-23:00
定休日 土曜日
アクセス 阪神「御影」駅南口から西に徒歩約5分
サウナ 無し
水風呂 無し
シャンプー石鹸 備え付け無し